さわごと

備忘録。日々のことをつらつらと・・・

FIXER 〜 Akina Nakamori

中森明菜さん


長い休養期間を経て昨年、久しぶりとなるシングル2枚とカバーアルバムをリリースしたのは記憶に新しいところ。


満を持して…


昨年暮れにオリジナルアルバム「FIXER」をリリース。

01.FIXER -WHILE THE WOMEN ARE SLEEPING-
02.Rojo -Tierra-
03.Endless Life
04.unfixable
05.La Vida
06.雨月
07.とどけたい ~voice~
08.欲動
09.kodou
10.Lotus
11.Re-birth

(Bonus Track)
12.Rojo -Tierra- (Fixer Version)
13.unfixable (Fixer Version)


オープニングとなった表題曲「FIXER」は映画の挿入歌となることが発表されており、曲入りの広告も既に公開されている。
どこか掴み所のないボーカルから静かに始まるこの曲は、エフェクトボーカルのBメロを経てサビの部分で予想外の展開を見せる…
いい意味での期待を裏切るアレンジ。明菜さんらしい。


タイトル曲に始まるアルバムは、前半がシングル曲やそのカップリング、後半はアルバム用に作られた曲たちが収録されている。
打ち込みによるサウンドが主体となってる中、独特な雰囲気で異彩を放っているのがシングル「Rojo-Tierra-」のカップリングである「La Vida」

シンプルなアレンジが施されカップリングとしても名曲なのだが、EDMに囲まれたアルバムにおいて、後半の曲調へと繋ぐ大事な役割を果たしている。
このアルバムにとって欠かすことの出来ない一曲となった。


今作で特筆すべきはEDM、スパニッシュ以外にもエスニックなど多岐にわたる曲調に、若い作家によってもたらされた新しい風。 

今まで歌い上げてきた歴史をなぞりつつ、あらゆる曲調に対して現在のサウンドに違和感なく寄り添ったリズムと明菜さんの歌声は、聴く者を様々な世界へと連れ出してくれる。



そこには安っぽい「奇跡」など存在しない。
揺るぎない「今」を感じることが出来る。



切ない愛を歌い上げた「とどけたい ~voice~」は、長きに渡るファンにとって待ちわびた曲ではないだろうか。
真骨頂とも言えるラブバラードは、以前のように過度に気持ちを入れすぎることなく、少し引き気味ながら切々と歌っている。 
休養を経たその声は深みを増し、心地良いハスキーボイスから深く響く低音とビブラートは、身体が震えるような錯覚をおぼえる。


「欲動」「kodou」「Lotus」に於いては、往年の明菜さんを思い出させる曲調。
中でも「kodou」はバンド編成による演奏にてレコーディングされており、そのライブ感がとても生々しく、明菜さんの歌も活き活きしてるように聴こえる。
過去の音域も声量も薄れていることが時に話題となるが、既に50歳を迎えた歌姫にはもう必要のないことであろう。
このアルバムを聴けば、今なお進化し続ける歌姫に会えるから。



アルバム制作には1年以上の時間がかけられたとのこと。
CD売り上げの不調も影響し年々厳しくなってる音楽業界の中で、これだけの時間とお金をかけてアルバム制作を許してくれた環境に、ファンの一人として心から嬉しく思う。
本人の体調に左右される部分もあっただろうが、丁寧に作り込まれた音と共に久しぶりの歌声を聴けてホッとした。


6年ぶりの「復帰作」は今後「名盤」となるであろう。




少しずつでいい。
俗世の雑音など気にせず、長く明菜さんが歌い続けられますよう、心から願う。

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